2022年1月、七草について書いた(薬草園歳時記(13)七草 2022年1月)。まず、その時の内容を少し引用する。
「私が七草粥のために静岡の生活協同組合ユーコープ城北店で購入した七草の中の蘿蔔(大根)には、たいへん残念なことに葉が付いていなかった。大根の葉には豊富な栄養があり、俳句の講義の時にも、この「大根の葉」を兼題にして詠むことをすすめている。」
「一方、大根の葉はβ-カロテンを含む緑黄色野菜である。ビタミンCやE、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラル類、葉酸、ビタミンEなどが含まれ、とくにカルシウムの含有量は、野菜の中でも上位である。この葉を刻んで雑魚と一緒に炒めてふりかけなどにして利用する。」
「例えば、100gあたり含まれるカリウムの量を七訂日本食品標準成分表で比べると、大根の根の部分(皮付きの生)では230mg、大根の葉の部分では400mg、切り干し大根の乾物では、3500mgである。同じく鉄分を比べると、それぞれ、0.2mg、3.1mg、3.1mgであり、ビタミンCでは、それぞれ、12mg、53mg、28mgである。」
というように大根の葉にはとても重要な栄養があって、それをビタミン不足になりがちの真冬にいただくのが七草の重要な意味である。したがって「すずしろ」に葉がついていないというのが気になっている。それはあえて栄養素を排除しているというだけでなく、日本に貴重な伝統の意味を伝える点でも残念なことになるし、大根の葉を食べるという日本人の知恵を伝える点でも欠陥を持っていることになる。あえて大げさに言うと、この七草で静岡の文化が重要な影響を受けているという言い方もできるかもしれない。
「私が七草粥のために静岡の生活協同組合ユーコープ城北店で購入した七草の中の蘿蔔(大根)には、たいへん残念なことに葉が付いていなかった。大根の葉には豊富な栄養があり、俳句の講義の時にも、この「大根の葉」を兼題にして詠むことをすすめている。」
「一方、大根の葉はβ-カロテンを含む緑黄色野菜である。ビタミンCやE、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラル類、葉酸、ビタミンEなどが含まれ、とくにカルシウムの含有量は、野菜の中でも上位である。この葉を刻んで雑魚と一緒に炒めてふりかけなどにして利用する。」
「例えば、100gあたり含まれるカリウムの量を七訂日本食品標準成分表で比べると、大根の根の部分(皮付きの生)では230mg、大根の葉の部分では400mg、切り干し大根の乾物では、3500mgである。同じく鉄分を比べると、それぞれ、0.2mg、3.1mg、3.1mgであり、ビタミンCでは、それぞれ、12mg、53mg、28mgである。」
というように大根の葉にはとても重要な栄養があって、それをビタミン不足になりがちの真冬にいただくのが七草の重要な意味である。したがって「すずしろ」に葉がついていないというのが気になっている。それはあえて栄養素を排除しているというだけでなく、日本に貴重な伝統の意味を伝える点でも残念なことになるし、大根の葉を食べるという日本人の知恵を伝える点でも欠陥を持っていることになる。あえて大げさに言うと、この七草で静岡の文化が重要な影響を受けているという言い方もできるかもしれない。
収穫前の青首大根(撮影 2024年1月25日 職員の自家菜園)
大根(ダイコン)(学名:Raphanus sativus L.)は根菜類の代表として、煮物や漬物、汁の具など幅広く料理に使われる。英名はJapanese Radishであるが、原産地は地中海沿岸などで、日本には中国、朝鮮半島など東アジアから渡ったとされる。日本に来てから品種改良が各地で進んだ。秋から冬に収穫する秋どり以外に、春どり、夏どりがあり、季節に応じて栽培が可能となった。また、根の上部が緑色になる青首系は漬物やサラダに、根の上部が白い白首系は主に煮物などに向き、蕎麦などの薬味用に辛味の強い品種などもある。根にはビタミンC、カリウム、消化を助け胃腸を整えるジアスターゼが含まれる。
薬草園のブロッコリー(圃場で学生が管理する区画にて撮影)
ダイコンやブロッコリーなどのアブラナ科の植物にはイソチアネートいう化合物が含まれる。辛味の元となる成分であり、切ったり加熱すると生成される。硫黄を含む物質であり、ブロッコリーの茹で汁が匂うのはこれである。分解すると揮発性成分が発生し、濃度が高くなると異臭を感じる。しかし、イソチアネートには肝臓の解毒作用の活性化、発がん性物質を抑制する効果がある。
ダイコンの可食部は根と葉だが、薬用では種子を使う。民間療法で食中毒の腹痛に、粉にした種子または少量の種子をかみ砕いて飲む。生薬名は萊菔子(ライフクシ)で、ダイコンと同じくアブラナ科のカブ(学名:Brasissica rapa L.)も種子を薬用することがあり、薬効はしもやけ、そばかすに良いとされる。
ダイコンの可食部は根と葉だが、薬用では種子を使う。民間療法で食中毒の腹痛に、粉にした種子または少量の種子をかみ砕いて飲む。生薬名は萊菔子(ライフクシ)で、ダイコンと同じくアブラナ科のカブ(学名:Brasissica rapa L.)も種子を薬用することがあり、薬効はしもやけ、そばかすに良いとされる。
薬草園のキャベツ(今年度、苗の寄付をいただいたので導入した)
畑でダイコンやカブは収穫されず放置するといずれ薹(とう)が立ち、先端に4弁の十字形花をつける。ダイコンは白色または薄紫色で、カブは黄色の花なので見分けることができる。アブラナ科は交雑し易いことで知られているが、姿が似ているダイコンとカブが交雑することはない。しかし、アブラナ属(Brasissica)のカブ、ハクサイ、ミズナなどのカブグループ内、キャベツ、ブロッコリー、ケールなどのアブラナ属(Brasissica)のキャベツグループ内では交雑する。各グループは同属であるが、カブグループとキャベツグループ間では交雑しない。そのためキャベツとカブが交雑することはないのである。
七草のすずしろ(だいこん)、すずな(かぶ)は身近な食材だ。せりはスーパーマーケットや八百屋に売っていて、多年草で野生では低湿地、水田に生えていることがよくあり、薬草園にも植えてある。七草粥の食材を自分で調達する際には、ごぎょう、なずな、はこべら、ほとけのざ(こおにたびらこ)の4種の確保が問題となる。これらは野草だが、残念ながら雑草扱いされていていることがあり、毎年時期がくればまた生えているという場所もあるが、見つからない場合もある。また、見つけたとしても、小さな草なので、定量を摘み取るのに苦労する。また、正確に植物を見分ける知識も必要になる。
薬草園のルッコラ(キバナスズシロ)
「薬草園歳時記(13)七草 2022年1月」の掲載後、「七草粥の食材の確保」についての問い合わせが大学にあった。それから来園者に聞いたところ最近は代用品を使うことがあるという。クレソン、春菊、ルッコラ、ベビーリーフ、白菜などで、特にこだわりがない人は、すずしろ(だいこん)とすずな(かぶ)だけで作って食べる方もいた。また、自家菜園ですずしろ(だいこん)とすずな(かぶ)を栽培する方はやはり葉と根の両方とも粥に加えるという。クレソンには消化促進作用があり、春菊に含まれるβ-カロテンには風邪予防の効果がある。確かにどれもスーパーマーケットにあり現代風に自分の好みでアレンジして食べるのも良い。
前回のブログを書いた後、そのコピーを「生活協同組合ユーコープ」の理事長に送ってみた。「食とくらしの安心をめざして、神奈川?静岡?山梨3県でお店とおうちCO-OP(宅配)などのサービスを展開する生協です。人と人をつなぎ、環境?社会貢献?福祉?平和..」とあるので、静岡県民の暮らしにも影響する大根の葉のことを知ってほしいと思ったからである。しばらくして丁寧に返事をいただいたが、生産者の関係で大根の葉をつけることができないという説明だけで終わっていた。
しつこいと思われるかもしれないが、やはり気になっているので、今年はユーコープではなく、「しずてつストア」で七草を購入してみた。結果ははやり2022年のものと同じ内容で、大根の葉は付いていなかった。その商品の写真を載せておく。そこで今度は生産者にこのブログをコピーして送ることにした。どのような答えが返ってくるか、少し期待している。
しつこいと思われるかもしれないが、やはり気になっているので、今年はユーコープではなく、「しずてつストア」で七草を購入してみた。結果ははやり2022年のものと同じ内容で、大根の葉は付いていなかった。その商品の写真を載せておく。そこで今度は生産者にこのブログをコピーして送ることにした。どのような答えが返ってくるか、少し期待している。